現在は、グループ会社を含む7,000名以上の従業員が、WalkMeが実装されたシステムを利用中だ。WalkMeは、新しいシステムへの適応という観点において、単にマニュアルに依存した運用からの脱却を実現しただけにとどまらない。「WalkMeは、システム開発を伴わず、即時にリリースできるのが大きなメリットだと感じています」と語る大畑氏は、「突発的なUIの変更に速やかに対応できるだけでなく、ユーザーから特定の内容に関する問い合わせが多いなと思ったら、もともと存在していたかのように、速やかにガイダンス表示を追加することもできます」と説明する。結果として、同じような問い合わせが繰り返し発生する状況も改善できる。
実際、毎年年末調整の時期に問い合わせが急増していたが、CompanyにWalkMeを実装したことで、問い合わせを3分の1程度に削減できた。また、ベンダーに開発を委託する場合との比較で、開発工数や開発コストの削減はもちろんのこと、ベンダーとのやりとりにかかるコミュニケーションコストの削減にもつながっている。
一方、人事部門では、ITをバックグラウンドとしない業務部門による市民開発も進んでおり、大きなトラブルも起きていない。「自分たちで開発できるとコミュニケーションコストがかからなくてよいという声も聞こえています。ただ、標準化を進めていく上では、属人化やブラックボックス化を防ぐためのルール策定やガバナンス構築が必要だと感じています。業務部門からヒアリングしてIT統括部で開発する場合であっても、すべての要望を受け入れるのは違うと考えています」と齋藤氏は語る。
さらに同金庫は、WalkMeの活用に新しい価値を見出している。その一つが、シャウトアウト機能による社内周知の徹底だ。たとえば、役員メッセージの閲覧促進を目的に、シャウトアウト機能を用いて2日間限定で表示したところ、職員の50%近くがWalkMe経由で記事を閲覧。周知手段としての有効性を確認した。また、年末調整の時期には、Companyの画面を開いた際に、入力期間や期日に関する注意喚起を表示。確実に目に入る導線として高い効果を発揮している。このように、社内コミュニケーション基盤としての活用も拡がりつつある。
また、ボトムアップによるDXカルチャーの醸成という観点でもWalkMeの貢献が期待される。農林中金には、入庫2~3年目の若手職員を対象に、自律的なキャリア形成を目的として実施する金庫内インターン制度がある。その一環として、IT統括部では、インターンの期間内にWalkMeを含むITデジタルツールの開発体験の機会を提供しており、これが、利用者の立場でその効果を実感できる貴重な機会になっているというのだ。齋藤氏は、「こんなに容易に開発ができるのであれば、自分たちの部署で独自に使用している業務システムにもWalkMeを実装してみたいという声が、各部署から上がるようになっています」と語り、現場職員の自律的な意識変化に手応えを感じている。農林中金にとってのWalkMeは、もはや単なる操作ガイドではなくなりつつあるのだ。