創業100年を迎えた老舗の製造会社である株式会社ヨコオは、創業者である横尾忠太郎が職人時代に培った精密パイプ加工の技術を進化させながら、世界の電子・電機・自動車メーカーに対し、革新的な先端製品を提供してきた。同社の製品には、腕時計のベルト交換を容易にした「バネ棒」や、携帯ラジオ用アンテナとして発明された「ロッドアンテナ」、金属製のポールタイプが主流だった車載ラジオ用アンテナを小型化した「マイクロアンテナ」、医療用カテーテルに使用される部品など、身近なところで人々の安全で快適な暮らしを支えてきた製品も多い。創業時から受け継がれるコア技術を守りながら、車載通信機器(アンテナ)、半導体回路検査用コネクタ、電子機器用コネクタ、医療用微細精密部品の4つを主力事業に据え、今もなお「新しい」を生み出し続ける進化永続企業として挑戦を続けている。
顧客に業界のトッププレイヤーを持つ同社は、そのビジネス環境において、高いセキュリティレベルを求められることが多い。すべてのIT資産を正確に把握し、脆弱性対応をプロアクティブに実行していく必要がある。そのためのツールとしてServiceNowの導入を進めていたところに、定着化を支援するデジタルアダプションプラットフォーム(DAP)の存在を知った。
DAPに関心を寄せた理由を、中山氏はこう説明する。
「ServiceNowに限ったことではなく、システム導入時には、必ず最後にトレーニングの工程が待っています。実は、この工程がいつも無駄だと感じていました。スクラッチ開発のシステムなら、一度作ってしまえば長期にわたり大きく変わることがないので、手順書を作って教育すればそれでよかったのかもしれません。しかし、昨今のようにクラウド活用が進み、日々進化するのが当たり前になってくると、そうはいかないわけです。
手順書ではクラウドの進化のスピードに追随できず、結果的に古い手順書を見ていたり、手順が正しく伝わらなかったりすると、思わぬトラブルの原因になります。だからといって、大企業のようにマニュアルチームを用意できるほど人的リソースに余裕はありません。教育を外部委託するとなると少なくないコストがかかりますし、その割に成果が上がらず、稼働後の定着化は独力になってしまいます。どうしたものかと以前から頭を悩ませていたのです。」

株式会社ヨコオ 経営企画本部 サイバーセキュリティ対策企画室 技術企画室 部長 中山秀人氏