日本最大級の不動産流通会社である三井不動産リアルティは、新しいシステムを導入するたびに右肩上がりに増大していくITコストを最適化するため、社内に導入されたシステムの利用状況を可視化する機能 WalkMe Discoveryに着目。利用者が顕著に減っているシステムや、意図したとおりの使われ方をしていないシステムなどを明らかにすることで、7システムの廃止に成功した。投資対効果を踏まえて必要性を精査し、価値を生むシステムに投資を集中していく考えだ。

130超のシステムが稼働 要る・要らないの判断が困難に

三井不動産リアルティ株式会社は、「三井のリハウス」や「リアルプラン」のブランド名で知られる個人向け不動産仲介事業のほか、駐車場・駐輪場運営の「三井のリパーク」やカーシェアリングサービス 「三井のカーシェアーズ」、さらには法人や資産家向けの総合的な不動産コンサルティングなどを展開。 不動産の「売る」「買う」「貸す」「借りる」「活用する」 ニーズに対し、幅広い解決策を提案する不動産流通事業のリーティングカンパニーである。その不動産売買仲介取扱件数は、38年連続で全国No.1の実績を誇る。

未来に向けた取り組みの大きな柱の一つに「デジタル戦略の強化」を位置づけ、新しい不動産流通ビジネスのあり方を追求し続ける同社では、2024 年時点で社内に130を超えるシステムが稼働していた。 古いシステムを使い続けながら新しいシステムを導入していくとなると、その数は増える一方で、それに伴うセキュリティ投資も増え、ITコストはどんどん膨らんでいく。実際、ここ十年ほど同社のIT投資は右肩上がりに増大し続けていた。「労働人口が減っていく中で、店舗数を増やせば売上が上がっていく時代ではなくなりつつあります。少ない人数で効率的に仕事をこなしていくためにも、ITがサポートする領域は今後ますます拡大していきます。そうなると、投資対効果を踏まえて必要なシステムを精査し、IT コストをいかに最適化できるかが重要になります」と、三井不動産リアルティ株式会社ITマネジメント部長齊藤 宜史氏は語る。

そこで同社では、IT資産の棚卸判定会議を年に1回ペースで実施するなど、具体的な取り組みに着手。しかし、そもそもシステムの利用状況を客観的かつ網羅的に把握する仕組みがない。依然として感覚的な判断に頼らざるを得なかったとして、 齊藤氏はこう説明する。 「アンケートやインタビューを通して利用部門にヒアリングを行っても、少しでも利用していれば『利用しています』という答えしか返ってきません。 日々の業務の中でどの程度使われているのか、果たして意図したとおりに使われているのかまでは見えてこないのです。たとえば1000人いる部署に、全員が利用する想定でシステムを導入したとします。400人しか利用していないことがわかったら、周知が足りないのか、使い方がわからないのか、あるいは使いにくいのか、残りの600人が利用しない原因を特定して、全員が使えるようにする必要があります。つまり、ただ利用しているか、していないかというフワッとした議論では、解決にはつながらないということです。」

利用状況を可視化するWalkMeの新機能に着目

同社は、システムの利用状況を可視化する仕組みを求めて情報収集を開始したが、ニーズにぴたりとはまるソリューションに出会えずにいた。そんな折、 対象システム上に操作ガイダンスを構築できるデジタルアダプションプラットフォーム(DAP)としてWalkMeに関心を持った同社は、偶然にもWalkMeに、ソフトウェアの利用状況を可視化する新機能WalkMe Discoveryがあることを知った。 WalkMe Discoveryは、社内で利用中の Webアプリケーションにおいて、社員がどのソフトウェアをどの程度利用しているかを自動的に検出し、意図したとおりに社員がソフトウェアを利用できているかどうかを確認できる機能だ。ライセンスへのログイン率を提供するだけのツールとは異なり、すべてのサイトごとのデータを抽出して組織や社員の属性と重ね合わせ、社員が行っている業務と関連付けて社内や社外のソフトウェアの利用状況を詳細に把握できる。まさに同社が探し求めていたソリューショ ンであり、WalkMe Discovery以外の選択肢は他に見つからなかったという。

ITコストの最適化を目指し7つのシステムの廃止に成功

こうして同社は、2024年4月にWalkMe Discoveryを導入。WalkMeと人事データの連携を実現し、どこの部署の誰が何をどのように利用しているのか、その実態を詳細に把握できるようにした。棚卸判定会議では、WalkMe Discoveryで可視化されたデータをもとに議論を進められるようになり、導入後7つのシステムの廃止に成功。その中には、利用者が顕著に減っているシステムや、コストがかかる割に価値を生み出せていないシステム、リプレイスのタイミングを迎えたシス テムなどがあった。削減できたシステムのコストは、より有用なIT投資に振り分けることができる。 また、IT 部門の限られたリソースで膨大な数のシステムを網羅的に管理するのには限界もある。 WalkMe Discoveryの力を借りることで、ガバナンスを強化しつつ大幅な効率化にもつながって いる。 「WalkMeの導入を機に、新陳代謝を促せるようになったことも大きいですね。従来のように、このぐらいコストがかかるのは仕方ないだろう、という感覚的な判断ではなく、本当に必要な投資なのかどうかを、データをもとに論理的に説明できるようになりました。これまで折に触れ、増大し続けるITコストに疑問を投げかけてきた経営陣も、 IT予算の策定において納得感が高まっているように感じます」と齊藤氏。また一方で、セキュリティガバナンスの観点で、シャドー ITの発見という思わぬ副産物もあった。放置すれば大きなセキュリティリスクにつながりかねない利用実態を明らかにできたことは、同社に重要な気づきを与え、必要な対策を急ぐきっかけとなった。 「ユーザー単位での行動をここまで細かく可視化できるツールは他に知りません。WalkMe Discoveryを活用すれば、エリア別にシステムの利用傾向を分析したり、年齢層による利用状況の違いを分析したりすることも可能です。たとえば、 若い人は使えているけど年配の人はうまく使えていないとか、このエリアの人のほうが活発に利用しているといったこともわかるようになります。 それによって、啓蒙策や周知策など、必要な打ち手が具体的に見えてきます。システムは使われてこそ価値があります。導入後の運用を各部門任せにするのではなく、価値を生み出す使い方を定着化させるうえで、投資したものへの継続的なコントロールを可能にする WalkMe Discovery が重要な役割を果たすと考えています。」(齊藤氏)

持続可能な成長の実現に向け価値を生むものに投資を集中

「世の中の流れとしてもデジタル化が加速度的に進む中で、新しいシステムに積極的に投資をするだけでなく、今あるシステムが意図したとおりに使われているかどうかを可視化し、価値を生み出すものだけに投資していくという取り組みは、これからの事業成長を支える IT 部門にとって非常に重要です」と齊藤氏は強調する。どの程度使われているかを可視化した次の段階で、どう使わせるかを考えていく上では、今 後 DAPとしてのWalkMeの機能が求められる場面もありそうだ。 さらに齊藤氏は、「機能を正しく使えば3 分でできる作業を3時間かけてやっていたら、会社としては損失ですよね。自分が目の前のソフトウェアを本来の正しい使い方で操作できているのかどうかは、意外とわからないものです。WalkMeでそこまで可視化できるようになれば、実は飛躍的に効率化が進むのかもしれません。あとはPCだけでなく、今後社内に増えていく可能性のあるスマートフォンのアプリケーションについても、利用状況を把握できるようになるといいですね」と機能の進化に期待を寄せている。 三井不動産リアルティが手にしたのは、ソフトウェアを使いこなすための環境を整え、支出に見合う成果を得られるよう、より多くの価値を引き出すための仕組み。WalkMe Discoveryは、同社がこの先も持続可能な成長を実現していくための重要な足がかりとなっている。

三井不動産リアルティ株式会社について

不動産流通事業のリーディングカンパニーとして、さまざまなフィール ドで質の高いサービスを提供。「住みかえ」思想を一般的な考え方に定着させた「三井のリハウス」を中心とした不動産仲介をはじめ、企業や個人資産家の不動産コンサルティン グ、「三井のリパーク」ブランドによる駐車場経営、会員制カーシェアリングサービス「三井のカーシェア ーズ」の運営などの幅広い事業を展開している。

創 立   :1969年  7 月
資本金 :3,000 百万円
代表者 :代表取締役社長 遠藤靖
本 社 :東京都千代田区霞が関3丁目2番5号
従業員数:連結 5,188人、 単体 4,499人 (2024年3月31日現在)

https://www.mf-realty.jp/