そこで同社は、PoCを実施してWalkMeの効果を検証することにした。しかも、SAP Concurの新UIが適用されるタイミングで同時にWalkMeを適用してみるという挑戦だった。20代から70代まで約20名の協力者を得てPoCを実施した結果、WalkMeの効果を肌で実感、共有し合うことができた。トライアルユーザーからは、「マニュアルを見なくてもできた」「間違いなく業務効率化になる」「全社員のDXを推進できる」「新しいシステムやUIへの拒絶反応が緩和されると思う」「WalkMeが直感的な操作の互換になる」「SalesforceやSAP Aribaにも実装してほしい」といった好意的な声が集まり、誰一人取り残さないデジタル化の実現を確信したという。
同社は、この効果の測定・分析結果をSAP Concur導入プロジェクトのステアリングコミッティにて共有。年齢・性別・文化・身体の状況など、人々が持つさまざまな個性や違いに関係なく誰もが利用しやすいユニバーサルデザインの実現を目指して、WalkMeの力を借り、SAP Concurを起点にカルチャー変革を進めることについて、経営陣からの理解と後押しを得ることができた。「WalkMeを導入することが目的ではなく、本質的な狙いは新しい常識を取り入れ、マインドや文化を変革し醸成していくことです。つまり、経営戦略を実践するための手段として位置づけたということです」と佐藤氏。
こうして2022年、SAP ConcurにWalkMeを実装。2023年にはビジネスアクセラレーション課を発足させ、その中にWalkMeチームを組成。経営戦略に沿った活用を前提に、導入・開発ガイドラインの作成と内製化に向けたロードマップを策定し、同年12月までに9システムを対象にWalkMeを展開していった。このスピード感の鍵は内製化にあったとして、佐藤氏はこう説明する。
「WalkMeで解決すべき課題や解決イメージを描くことができるビジネス理解者、業務を理解している業務担当者、システムの操作・機能を把握しているシステム理解者が依頼部門として三位一体となり、ここにWalkMeの機能を把握・実装する開発担当者が加わり、自分ごととして導入を進めていきました。最適なメンバーを揃えることで、目指すべき効果の実現と効率的なプロジェクトの推進を可能にしたのです。内製化により、社内で迅速かつ効率的な対応が可能になり、WalkMeのシャドーIT化も防止できました。」