【前編】DAP Summit 2025 脱・DX迷宮 ~DAPは、DX成功のラストピース

WalkMe Team
By WalkMe Team
Updated August 25, 2025

注目度の高さを物語る、昨年に引き続きの満員御礼

WalkMe株式会社は、2025年7月16日、TODAホール&カンファレンス東京(東京都中央区)にて、「DAP Summit 2025」を開催しました。2回目となる本イベント、参加登録者は1100名を超え、初開催だった昨年に引き続き満員御礼。本年度は、テーマを「脱・DX迷宮 ~DAPは、DX成功のラストピース」と銘打ち、WalkMe、SAP、ユーザー企業、パートナー企業、特別ゲストによる計12本のセッションが実施され、多種多様な視点からDX戦略を取り巻く環境とその最新事例について紹介されました。

当日の講演動画はこちら

【WalkMe株式会社】DAPは、DX迷宮を抜け出すためのラストピース

小野 真裕
WalkMe株式会社
代表取締役


オープニングは、WalkMeによる基調講演。まず、WalkMe株式会社 代表取締役 小野真裕が登壇しました。今回のテーマである「脱・DX迷宮」について、DX戦略に取り組む企業の実情について、次のように話します。

「こちらの、『70%』という数字をご覧ください。これは、DXプロジェクトの実に約70%が成功に至っていないというデータです。かつてないほどテクノロジーが進化しているにもかかわらず、IT投資に見合った成果が得られていないという現実。この状況は、まさに“DX迷宮”といえるのではないでしょうか」。デジタルツールを導入しても、従業員が使い方を覚えてくれない、それどころか使おうともしてくれない、という状況において、「DAPは、DX成功のためのラストピース」であると強調します。

WalkMe日本法人は、2019年の設立から6年が経過。それ以降、顧客数の増加はもちろん、同一クライアント内でWalkMeを活用する対象アプリケーションの幅が広がり、全社横断的なプラットフォームとして利用されている事例が増えていると話します。「今回のイベントでは、WalkMe導入企業の皆様に、実際の事例についてご紹介いただきます。ぜひ、DX迷宮を抜け出すためのカギを見つけて帰ってください」。本日の全登壇者を紹介した後、小野はWalkMe Ltd.の最高レベニュー責任者(CRO)スコット・リトルへとマイクを譲りました。

【WalkMe Ltd.】変革とは、能力。変革の中心は、常に「人」である

Scott Little
WalkMe Ltd.
最高レベニュー責任者(CRO)


「WalkMeは、創業者のひとりの実体験から生まれたサービスです」。スコットは、WalkMeの誕生エピソードから話を切り出しました。オンライン銀行の取引手順がわからないという母親から、電話を受けた息子。手順を事細かに説明したにもかかわらず、しばらくしてまた母親から電話が。お互いにストレスフルなこの状況を改善するために、もっといい方法があるはず。そんな想いから開発されたのがWalkMeなのです。「2016年にDAP 1.0、2018年に2.0をローンチ。その後、株式公開。2024年にはさらなる事業拡大を見据え、SAPグループの一員となりました。そして今年2025年には、DAP 3.0の発表を控えています」

近年、企業はこれまで以上にDXの必要性を認識、投資をおこなっていますが、そのうちわずか6%の組織にしか、将来の状況に対応できる体制がないと、スコットは警鐘を鳴らします。「トランスフォーメーション(変革)は、プロジェクトごとに管理ができるものではありません。変革とは、能力。そして変革の中心にいるのは、常に『人』なんです。継続的な成功を収めるためには、人々が技術変革を受け入れ、活用し、能力を身につけていくことが必須です」

さらにスコットは、AI時代におけるDAPの進化についても言及。2025年度のロードマップでもっとも重要視されているのは、SAPのAIアシスタント「Joule」に搭載されるアクションバーであると強調します。「Jouleアクションバーが、しっかりとその価値を発揮するよう、DAPをSAPアプリケーションに最適化していきます。さらにはSAPアプリだけでなく、他社のサービスも含めて横断的に機能することが極めて重要だと考えています」。さらには、スケーラブルなコンテンツ作成、統合されたデジタルラーニングなど、随所にデモ動画も交えて紹介。WalkMeの今後について、大きな期待を集める形で基調講演を締めくくりました。

【日本電気株式会社】AIの進化により、人がさらに輝く社会へ

小玉 浩 氏
日本電気株式会社
執行役 Corporate EVP 兼 CIO


顧客企業の基調講演には、日本電気株式会社 執行役 Corporate EVP 兼 CIO 小玉浩氏が登壇。「2010年代、我々NECはに非常に厳しい経営状況にありました。このままでは企業活動の継続すら難しいということで、まずは経営陣がコミットし、カルチャー変革本部を編成。そのアジェンダのひとつに、デジタルトランスフォーメーションが据えられたのです」と、同社における激動の10数年を紹介しました。この結果、企業価値は2017年度に比べて約8倍に急上昇。「ここに、近年進化の目覚ましい生成AIのテクノロジーを加えることによって、DXの流れをさらに加速させていきたいと考えています」

企業変革のポイントは3つある、と小玉氏。「まず、人の力を最大限に発揮する。2つ目に、データドリブンによる経営マネジメント変革。そして、生成AIをいかに活用するか。この3点が非常に重要です」。2つ目の「データドリブン経営」においては、WalkMeのプラグインがその力を大いに発揮。フレンドリーなインターフェイスで、高いレベルのUXを提供していると続けます。「社内のエンゲージメントは、当初19%しかありませんでした。これが、WalkMeを取り入れたこともあり、44%にまで改善。2025年度の中期計画では、グローバルの上位水準である50%越えを目指して、引き続き取り組んでいる只中にあります」。

これからのAIは、労働力であると同時に、パートナーであり、分身。そのAIと、いかにビジネスを共創していくかが重要であると、小玉氏は強調します。「NECの正式名称は、日本電気株式会社。AIネイティブカンパニーとして、人や組織、文化、ありとあらゆるものを変革していきたい。AIが進化することで、より人が輝く。そうした世界を、WalkMe社をはじめとする皆さんと共に、つくりあげていきたいと考えています」

【SAPジャパン株式会社】WalkMeの参画で、DX成功のための全要素が揃った

鈴木 洋史 氏
SAP ジャパン株式会社
代表取締役社長
堀川喜朗 氏
SAP ジャパン株式会社
常務執行役員 最高事業責任者


昨年、WalkMeをグループに迎えたSAPジャパン株式会社 代表取締役社長 鈴木洋史氏は、この統合を非常に誇りに思っていると切り出しました。「これまでSAPが注力してきた最先端の業務アプリケーション、システム、プロセス、そしてデータ統合。ここにWalkMeが加わることにより、人の領域、すなわちエンドユーザーによる実践的な活用までを一気通貫で支援できる体制が整いました」

これらの要素は、互いに連携させることでひとつの仕組みとして機能してこそ、真の力を発揮するのだと、鈴木氏は続けます。アプリケーションベンダーであるSAPとしても、システムの導入だけではなく、それを支える総合的な仕組みをいかに構築するかが問われる時代がやってきているのです。「時代の変化と共に、SAPはあらゆる業務領域をカバーするクラウド型のスイートへと拡張。現在はこれを、『SAPビジネススイート』としてお客様に提供しています。ここにWalkMeのユーザビリティが加わることで、より業務効率が向上。イノベーションと継続的改善の好循環を生み出せると期待しています」

ここで、常務執行役員 最高事業責任者 堀川喜朗氏にバトンタッチ。同社が提供する企業変革のためのソリューション「BTM(ビジネス・トランスフォーメーション・マネジメント)」と、SAPビジネススイートがいかに連携して機能するのか、具体的なデモが披露されました。堀川氏は、「ビジネスの変革においては、必要なプロセスやアプリケーションを、定性的かつ定量的な効果を見定めながら進化させていくことが必須。そのうえで継続的に成果を出していくことが、SAPとWalkMeが目指す企業変革の形です」と、セッションを結びました。

当日の講演動画はこちら(一部セッションを除く)

【中編】DAP Summit 2025 脱・DX迷宮 ~DAPは、DX成功のラストピースを読む
【後編】DAP Summit 2025 脱・DX迷宮 ~DAPは、DX成功のラストピースを読む
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