【前編】DAP Summit 2024              デジタルアダプションプラットフォーム元年 DXを先導する変革者たちの祭典

WalkMe Team
By WalkMe Team
Updated August 8, 2024

DAP元年、nice to haveではなくmust haveに

WalkMe株式会社は、2024年7月11日(木)、東京ポートシティ竹芝 ポートホールにて、国内初の大規模カンファレンス 「DAP Summit 2024」を開催しました。企業の経営層やDX推進担当者と、デジタルアダプションが提供する未来を共有するこのイベント。全セッションが目玉と言っても過言ではない豪華登壇者を迎え、WalkMeがどのように企業のDX戦略を支援しているか、その貢献の可能性について紹介しました。

 

<前編>

WalkMe講演

■価値を実証するフェーズから最大化するフェーズへ

オープニングに登場したWalkMe株式会社 代表取締役 小野真裕は、「初開催にもかかわらず満員御礼をいただき、急遽オンライン同時配信をしている次第です。最終的に約1500名の方から参加のご希望をいただきまして、これだけ多くの方にDAPに興味をお持ちいただける状況になったのは、一重にパートナーの皆様のおかげと心より感謝申し上げております」と挨拶。

WalkMeの日本法人の設立から5周年を迎える2024年を敢えて「DAP元年」と宣言する理由を、小野はこう説明します。

「1つは価値の証明です。国内ではすでに100社を優に超えるお客様にご利用いただいています。欧米で使えるからと言って日本ではどうなのかというお声もありましたが、ここに来てようやく、日本企業のみなさまにとって価値を創出できる製品であることを確信しているところです。

もう1つは、生成AIです。日本における生成AIの活用度合が他国に比べて低く国際競争力という観点でも少々懸念される状況です。今後ますます進化する生成AIの活用を促すには、DAPが重要な役割を果たすと考えています。」

さらに、「DAPは、nice to haveではなくmust haveである」と強調する小野は、DAPの魅力をさらに日本国内に拡げていきたいと語り、グローバルCEOのDanにバトンタッチしました。

 

WalkeMe講演

DAPが真のAIの民主化を後押し

米WalkMe 共同創業者でCEOのDan Adika(ダン アディカ)は、冒頭で、「DXプロジェクトの70%は成功していません。たとえAIをもってしても生産性は上がっていません。実際には使えていないのと等しく、きちんとその恩恵を得られていないのです。このギャップを埋めるには、別の方法が必要です」と指摘。これはテクノロジー側の問題ではなく、新しいテクノロジーが私たちや従業員にもたらす変化の大きさを過小評価したためだとして、チェンジマネジメントの必要性を強調。

「テクノロジーや市場の変化に俊敏に対応し、競争力のある企業になるためには、この状況をどう変えていくべきかを真剣に考える必要があります」とDan。昨今はAIが導入され、変化がさらに加速しようとしています。AIの可能性をフルに発揮させるためには、誰もが毎日使える状況を作り出す必要があります。

これを可能にするのがDAPであり、AIの活用を成功に導くためには「コンテキスト」が鍵を握るとして、Danは、「誰がどんな役割を担い、どのワークフローに関与していて、何をしようとしているのか。こうしたコンテキストがあって初めて、AIはプロアクティブになり、誰もが実行可能なものになります。これが、私たちがWalkMeXを開発した理由です。AIを民主化することで生産性を加速させ、誰もが変革の主役になれるということです」と説明。WalkMeXのデモを通じてその可能性の高さをアピールしました。

最後には、SAPがWalkMe社の買収に合意したニュースに触れ、「WalkMeが今後SAPの全製品に適用されることは明らかですし、SAP以外のシステム/SaaS等についてもこれまでと変わりなくカバーしていく予定です。この買収は、DAPの重要性と共に、デジタル変革の成功のカギはテクノロジーではなく『人』であることを物語っています」と締めくくりました。

 

お客様講演:富士通

■UXを犠牲にしないデータドリブンなアプローチで標準化を推進

富士通株式会社 執行役員 EVP CDXO, CIO 福田譲氏は「社会が急激に変化し、未来が見えない不確実な時代に必要なのは、変化し続けられる企業体質への変革です」と切り出し、富士通が挑む社内DX「フジトラ」について紹介。その具現化に向け、富士通では、グローバルでのビジネスオペレーションの標準化を重点施策の一つに掲げる「One Fujitsuプログラム」を展開しています。

しかし、Fit to Standardを徹底するには、アドオンではない形でユーザーに寄り添うエクスペリエンスを確保する必要があります。そこで、DAPを適用し、UXを犠牲にしないやり方で標準化を推進。過去4年で導入した51種類ものSaaSのうち、主要なSaaSの多くでWalkMeが活躍しています。

「誰がわかっていないのか、多くのユーザーが躓くのはどこか、想定よりも時間がかかっている箇所はどこかなど、秒単位で容易に把握でき非常にパワフル」と福田氏。導入前との比較で問い合わせ件数は42%削減、新規ユーザーに限定すると63%も削減。マニュアルを確認しながらのオペレーションに平均11分かかる処理を、30秒で完了できるようになった例もあります。国内8万人の従業員が利用することを考えると、その効果は絶大です。

「データドリブンにUXを改善していく取り組みがユーザー部門に理解されると、ITに対する信頼度も高まります。ここに今後AIが入ってくると、さらにデータの持つ意味が高まっていくでしょう。システムをいかに正しく動かすかにお金と労力をかけがちですが、システムは手段。最高のエクスペリエンスを実現し、ユーザーに喜んで使ってもらえる状況を作ることがDXを成功させ、企業を変革していくことにつながっていくのだと思います。」(福田氏)

 

お客様講演:荏原製作所

■経営×業務部門×IT部門が三位一体でDXをドライブ

株式会社荏原製作所 執行役 CIO(情報通信担当) 小和瀬浩之氏からは、比較的順調に進んでいるというDXの取り組みが紹介されました。はじめに、「当社がうまくいっている理由は、経営と業務部門とIT部門が三位一体となり全社を挙げてDXを推進している点にあります。経営戦略の中にDX戦略が存在し、この2つが表裏一体となっているのが大きなポイントです」と小和瀬氏。

荏原製作所では、攻めのDX実現に向け、データドリブンな戦略策定・意思決定に貢献する社長直轄の組織「データストラテジーチーム」を新設。また、徹底的な内製化にこだわることで、今までと異なる圧倒的な変革を可能にしています。一方、守りのDXにおいては、プロフェッショナルではない人が使う前提で仕組みを構築。誤ったデータを排除するために入力チェックを行うのではなく、その一歩手前で止めるということです。この役割を果たすのがWalkMeです。

小和瀬氏が、「システム担当は、ユーザー部門と一緒になって使いこなすところまで責任を持つべきです。当社ではゴーライブ後もプロジェクトを解散しません」と語るように、荏原製作所ではWalkMe専用の内製チームを作って対応。さらに、社内に蓄積されたノウハウを横展開できるようにしていると言います。

「ゴーライブ直前に現場にもっていくと、これでは業務が回らないと言われることが多々あります。そんなとき、せっかくFit to Standardの考え方で進めてきたものがムダにならないように、経営陣のみなさんがどんなことをお話しできるかが試されます。」

小和瀬氏が最後に語ったこの言葉に、三位一体で進めることの重要性が凝縮されています。

 

お客様講演:三井化学

■企業変革・業界変革につながる真のデジタル化を追求

「事業ポートフォリオの転換を図るために、新しい顧客、新しい市場を迅速に開拓していくことが、現在の経営上の課題」と語る三井化学株式会社 常務執行役員 CDO デジタルトランスフォーメーション推進本部長 三瓶雅夫氏。生成AI/GPTを活用した材料の新規用途探索、ブロックチェーン技術を活用した資源循環プラットフォームなどがその1つです。「しかし、デジタルのイニシアティブに化学企業が取り組むとなると、我々もデジタルのスキルを身に付けなければなりません。そこで、最近話題のリスキリングという課題に直面したわけです」と三瓶氏は振り返ります。

そこで三井化学では、DXの教育ロードマップを作成。全社員のポジションとスキルインベントリーの可視化、人事オペレーションのグローバルレベルでの標準化、コミュニケーション能力の強化をデジタルの力を使って推進することにしました。この時に直面した課題が、国籍や年齢に関係なく誰もが使える仕組みの実現です。しかも、複数システムにまたがって1つの業務プロセスが構成されている点が重要なポイントです。「こうした要件に対応できたのがWalkMeだったわけです。いわゆるオペレーションマニュアルのデジタイゼーションとは明らかに違いました」と三瓶氏。

デジタルをデジタルのために使うのではなく、あくまでも企業変革、業界変革のために使っていこうというのが三井化学の考え方です。

「DXを実現すると仕事のやり方が変わり、成功体験が自信となって、よりアジャイルであろうという企業文化に変わっていきます。さらにそれは、ポートフォリオの変革、そして、当社の最終目標であるコーポレートトランスフォーメーションにつながっていきます。」(三瓶)

 

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