開催日:2026年5月19日(火)
形式:対面(東京ミッドタウン八重洲カンファレンスセンター)+懇親会
対象:WalkMeの分析機能を活用し、定着化や業務改善を加速させたいユーザー企業のご担当者様
プログラム:
今回のユーザー会は、WalkMeインサイト(分析機能)に特化したテーマを掲げ、実際に分析サイクルを回している企業のリアルな実践事例を共有する場として開催されました。
当日はオープニングで参加者の現状をヒアリングしたところ、「分析は未着手」という方が約6〜7割、「イベントを仕込み始めた程度」が約2割という結果に。まさに今、多くのユーザーが「次のフェーズ」に踏み出そうとしているタイミングであることが改めて浮き彫りになりました。
前半は3社による事例発表とQ&A、後半は参加者全員がグループに分かれてディスカッションしアウトプットを出すワークショップ、そして懇親会まで、熱量あふれる一日となりました。
「この中で最も重要なのは、最初の現状把握です。これがないと、実装後に効果があったのかどうかが判断できません」
計測可能な指標を事前に設計してからWalkMeを実装することで、感覚ではなくデータで成否を語れるようになる。それが旭化成の流儀です。
「どれくらい発生しているかすら分からない状態でした」と桐山氏。そこでWalkMeのイベントトラッキングを活用し、「登録ボタンのクリック数」「エラー発生件数」「エラー種別ごとの件数」を1か月間計測することにしました。
その結果、登録ボタンが520回クリックされる中で、392回(なんと75%)がエラーで終わっていることが判明。「ほぼほぼ失敗している状態でした」(桐山氏)。定性的な課題感が、初めて定量データとして裏付けられた瞬間でした。
しかし桐山氏は、ここで満足しませんでした。
「リアルタイムで注意喚起しているのに、なぜ完全に撲滅できないのか?」
エラーを種別ごとに層別化して分析すると、内容欄の誤入力は94%削減とほぼ解決できている一方、件名欄の削減率は26%にとどまっていることが分かりました。さらに調査を続けると、「異なる入力欄のエラーが同一エラーコードとして集計されていた」という盲点が判明。インサイトで計測設計を見直したところ、「損金額」「負担割合」という項目での誤入力が集中していることが新たに浮かび上がってきました。現在、各項目向けの改善策を実装・効果計測中とのことです。
人事システムの分析では、「自己評価・振り返り入力」画面への滞在が突出していることが判明。全社員が使うこの画面への入力サポートを優先する方針を固めました。「顕在化している課題だけでなく、データが先に教えてくれる課題にも対処できるようにしたい」と桐山氏は語りました。
Q&Aより:エラーコードを種別ごとに細分化し、メッセージを変える対応についての質問が寄せられました。桐山氏は「誤入力削減と並行して開発コストを抑えたいというニュアンスもあり、新たなエラーコード設計にはまだ踏み込めていない」と正直に打ち明け、段階的な改善を続けていく意向を示しました。
SalesforceとWalkMeをほぼ同時期に導入。少人数体制でビルダー業務と問い合わせ対応を兼務しながら、WalkMeの活用推進を一手に担っています。
そこで大久保氏が取り組んだのが、WalkMeのイベント(Engaged Element)を使ったエラーの可視化です。件数の多いエラーや問い合わせ頻度が高いものを優先的にイベントとして仕込み、CSVでエクスポートしたデータをTableauに取り込み、対応日や種別のタグを付与して独自ダッシュボードを構築。「どのエラーが、いつ、何件発生し、対応後にどれだけ減ったか」を継続して追跡できる仕組みを整えました。
1回目は、エラー発生時にWalkMeで分かりやすい赤文字メッセージを表示。しかし月57件あったエラーが約50件にとどまり、効果は限定的でした。2回目は保存前に未入力項目を赤い三角で事前に示す仕組みを追加。件数はやや減ったものの十分ではありません。そこで3回目の対応として、保存ボタンにスマートチップを設置し、すべての項目を入力するまで次に進めなくする仕組みを実装。これで月約24件まで削減することに成功しました。
「1回目の対応が効かなくても、データを見れば何が足りないかが分かる。だから次の手が打てる」と大久保氏は語ります。
「少人数でビルダー業務も兼務している中で、この削減分を分析やコンテンツ改善に充てられるようになりました。分析によって上司や経営層への報告も数値でできるようになり、WalkMe活用の社内認知度向上にもつながっています」(大久保氏)
Q&Aより:イベント設計の具体的な方法について質問が出ました。大久保氏は「すべてのエラーにイベントを仕込むとデータが膨大になるため、件数が多いものや問い合わせで体感的に頻出するものを優先して選定している。Tableauの中でさらに絞り込んで分析している」と回答しました。
[商標注記]
SalesforceおよびTableauは、Salesforce, Inc.の米国およびその他の国における登録商標または商標です。
また、ユーザーの行動データをもとに課題を捉え、改善につなげるための仕組みとしても活用されています。
CoEチームがアカウント管理・ガイド作成支援・インサイト推進を担い、各システム担当者と連携しながら、継続的なUX改善を進めています。
そのきっかけとなったのが、ある業務フォームへのスマートウォークスルー実装です。ユーザーから「操作手順が分からない」という声を受けて導入したものの、「本当に使いやすくなったのか?」「業務時間の削減につながっているのか」を確認するには、感覚値だけでは不十分でした。そこでインサイトのフローアナリティクスを使い、「保存ボタンをクリックするまでの平均操作時間」を計測し、改善前後の変化を確認することにしました。
「メンバー全員で喜びました。感覚値ではなく、数値として効果が見えてきたことが大きなポイントでした」と西岡氏。それまで「効果が出ているんじゃないか」という感覚にとどまっていたものが、データに基づいて語れるようになったことで、関係者への説明や次の改善検討もしやすくなったといいます。
この発見をきっかけに、ランチャーのUI改善やプロモーション施策など、複数の次の打ち手を検討するフェーズへと進んでいます。
「インサイトは効果を確かめるためだけのツールではありません。ユーザーの行動データから課題を発見し、仮説を立て、次のアクションを考える起点になります。感覚ではなくデータを見ながら次の打ち手を考える。この繰り返しがUX改善を前へ進めます」(西岡氏)
Q&Aより:各システム担当者のスキルについて質問が出ました。「全機能を理解しているかというとまだ道半ば。シンプルな修正は各担当者が行い、作り方で迷った場合はCoEへ相談する体制にしている」と西岡氏。CoEが伴走する仕組みが、大規模展開を支えていることが伝わりました。
「利用状況の可視化」「業務プロセスの可視化」「現状把握」「気づきを得る」――さまざまな答えが出しました。どれも正しい。しかし重要なのは、その先にある「後半部分」です。
「インサイトで現状を把握するだけでなく、そこから改善を行い、UI/UXを更に向上させる。それがインサイトに込められた本来の目的です。今日のワークショップでは、その一連の流れを持ち帰っていただきたい」
ワークは2段階で構成されました。まず「課題・成果・解決策・検証(KPI)」の4ポイントを整理するワーク①(約20分)、続いて具体的な改善策・インサイトのイベント設計・KPIを落とし込むワーク②(約20分)。最後に各グループから成果物について、グループディスカッションの中で話し合われた各グループの「一押しの解決策」と「一押しのKPI」と共に、発表いただきました。
「シャウトアウトで入力例を示して入力ミスを事前防止し、滞在時間短縮をKPIに設定する」というシンプルながら的確なアプローチ。
「電話・メール問い合わせをWalkMeメニューのFAQで代替しつつ、購入件数も同時にモニタリングして”ユーザーが減ったから問い合わせが減った”という誤読を防ぐ」という、KPI設計の精度にこだわったプラン。
購入フローを「カートへの導線」と「チェックアウト」の2段階に分解し、それぞれにランチャー配置と郵便番号自動入力補完を組み合わせる設計。
アクションボットを活用し、チェックアウト画面への遷移時に対話形式の入力サポートを強制起動するという仕組み。
どのグループも、課題の捉え方から解決策の粒度まで、しっかり自分たちの言葉で語っていました。BtoCのECサイトを題材にしながらも、自社のBtoBシステムに置き換えて考えている様子が随所に見られたのも印象的でした。「BtoCかBtoBかに関わらず、ユーザーのためにどんなUXを提供するかという問いは変わりません。今日の手法を、ぜひ自社の改善に活かしてください」と締めくくりました。
よく話題に上ったのは、「インサイトのイベントをどこから設計すればよいか分からない」「効果を上司・経営層に説明するためのKPIの選び方が難しい」「少人数体制で分析まで手が回らない」といった悩みです。SalesforceやWorkdayなど外部システムへの実装時のエラー計測設計についても、具体的な質問が相次ぎました。
一方で、他社の取り組みから得られたヒントも豊富でした。「体感的に多い問い合わせや頻出エラーから優先してイベントを仕込み、データが蓄積してから全体を俯瞰する」(ウィーメックス)、「定性的な課題感を数値で裏付けてから実装することで、効果検証まで一貫したストーリーが作れる」(旭化成)、「フローアナリティクスによる操作時間の短縮は、経営報告に使いやすい分かりやすい指標になる」(富士通)――それぞれの知恵が参加者の間で共有されました。
3社の発表はアプローチこそ異なりましたが、いずれも「データを見続けること」「数字が示す次の課題を無視しないこと」「分析を改善サイクルの起点として使うこと」という共通の姿勢が貫かれていました。ワークショップを終えた参加者からは「明日から自社のシステムでイベントを仕込んでみます」「インサイトのフローアナリティクスを試してみたい」といった前向きな声が多く聞かれ、懇親会まで熱い交流が続きました。
今後もWalkMeは、ユーザー同士が学び合い、実践知を積み重ねていけるコミュニティの場を大切にしていきます。皆様のWalkMe活用が「入れる」フェーズから「回す」フェーズへと進化していけるよう、引き続き伴走してまいります。
ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

形式:対面(東京ミッドタウン八重洲カンファレンスセンター)+懇親会
対象:WalkMeの分析機能を活用し、定着化や業務改善を加速させたいユーザー企業のご担当者様
プログラム:
| オープニング | |
| 事例登壇 (各社20分) | 旭化成株式会社 「「入れて終わり」じゃない!WalkMe活用術~インサイト分析と改善サイクル~」 |
| ウィーメックス株式会社 「WalkMe分析について:Engaged Elementを活用したエラー削減」 | |
| 富士通株式会社 「UX改善におけるWalkMe Insights活用事例」 | |
| 休憩 | |
| ワークショップ | WalkMe分析ワークショップ(約85分)―課題選定・ワーク・グループ発表 |
| クロージング | JSUG WalkMe活用部会紹介・関連ウェビナー案内・アンケート・集合写真 |
| 懇親会 | 18:30〜(近隣会場にて) |
開催の背景と目的
WalkMeを導入したものの、「ガイドを設置したきり効果が見えない」「分析機能があるのに、どこから始めればよいかわからない」。そんな声がユーザー企業から多く届いていました。今回のユーザー会は、WalkMeインサイト(分析機能)に特化したテーマを掲げ、実際に分析サイクルを回している企業のリアルな実践事例を共有する場として開催されました。
当日はオープニングで参加者の現状をヒアリングしたところ、「分析は未着手」という方が約6〜7割、「イベントを仕込み始めた程度」が約2割という結果に。まさに今、多くのユーザーが「次のフェーズ」に踏み出そうとしているタイミングであることが改めて浮き彫りになりました。
前半は3社による事例発表とQ&A、後半は参加者全員がグループに分かれてディスカッションしアウトプットを出すワークショップ、そして懇親会まで、熱量あふれる一日となりました。
旭化成株式会社:現状を数値で「見える化」し、改善サイクルを回す
最初に登壇したのは旭化成株式会社の桐山氏。マテリアル・住宅・ヘルスケアの3領域で事業を展開する同社では、多様な事業を支える膨大なシステム群にWalkMeを適用しています。桐山氏は半導体エンジニア出身でIT部門に転じた後、クラウド基盤構築やLMS導入を経て2024年よりWalkMe活用推進を担当。現在はJSUG WalkMe活用部会のオピニオンリーダーとしても活動しています。「入れて終わり」にしないための4ステップ
発表の冒頭、桐山氏はWalkMe活用を効果的に進めるための考え方として、「現状把握 → 課題の解決策構築 → 効果測定 → 分析」という4つのステップからなる改善サイクルを提示しました。「この中で最も重要なのは、最初の現状把握です。これがないと、実装後に効果があったのかどうかが判断できません」
計測可能な指標を事前に設計してからWalkMeを実装することで、感覚ではなくデータで成否を語れるようになる。それが旭化成の流儀です。
事例:誤入力を定量化し、75%削減へ
紹介されたのは、とあるシステムで頻発していた誤入力を削減したプロジェクトです。管理者から「誤入力が多い」という声は上がっていたものの、システム側にはエラーの発生件数データが存在しませんでした。「どれくらい発生しているかすら分からない状態でした」と桐山氏。そこでWalkMeのイベントトラッキングを活用し、「登録ボタンのクリック数」「エラー発生件数」「エラー種別ごとの件数」を1か月間計測することにしました。
その結果、登録ボタンが520回クリックされる中で、392回(なんと75%)がエラーで終わっていることが判明。「ほぼほぼ失敗している状態でした」(桐山氏)。定性的な課題感が、初めて定量データとして裏付けられた瞬間でした。
データを見続けて、初めて見えてくるもの
このベースラインをもとに、入力中にリアルタイムで注意喚起するWalkMeガイドを実装。結果、件名・内容欄の誤入力は月288件から72件へ、75%削減を達成しました。しかし桐山氏は、ここで満足しませんでした。
「リアルタイムで注意喚起しているのに、なぜ完全に撲滅できないのか?」
エラーを種別ごとに層別化して分析すると、内容欄の誤入力は94%削減とほぼ解決できている一方、件名欄の削減率は26%にとどまっていることが分かりました。さらに調査を続けると、「異なる入力欄のエラーが同一エラーコードとして集計されていた」という盲点が判明。インサイトで計測設計を見直したところ、「損金額」「負担割合」という項目での誤入力が集中していることが新たに浮かび上がってきました。現在、各項目向けの改善策を実装・効果計測中とのことです。
次のフェーズ:課題を「見つけに行く」アプローチへ
これまでは「システム担当者に困りごとを聞いてから対応する」という受け身のスタイルでした。今後はインサイトのセッションデータを活用し、画面ごとの滞在時間をPower BIで可視化することで、担当者からの声を待たずに課題を能動的に発見するアプローチへと進化させています。人事システムの分析では、「自己評価・振り返り入力」画面への滞在が突出していることが判明。全社員が使うこの画面への入力サポートを優先する方針を固めました。「顕在化している課題だけでなく、データが先に教えてくれる課題にも対処できるようにしたい」と桐山氏は語りました。
Q&Aより:エラーコードを種別ごとに細分化し、メッセージを変える対応についての質問が寄せられました。桐山氏は「誤入力削減と並行して開発コストを抑えたいというニュアンスもあり、新たなエラーコード設計にはまだ踏み込めていない」と正直に打ち明け、段階的な改善を続けていく意向を示しました。
ウィーメックス株式会社:Salesforceのエラーを3段階で解消し、月の対応工数を1,500分(25時間)削減へ
続いて登壇したのは、医療機関向けに電子カルテ等のヘルスケアITソリューションを提供するウィーメックス株式会社の大久保氏。同社は、1972年に日本初となる医事コンピュータを発売した三洋電機株式会社をルーツに持つPHC株式会社メディコム事業部と販売会社の統合によって誕生しました。SalesforceとWalkMeをほぼ同時期に導入。少人数体制でビルダー業務と問い合わせ対応を兼務しながら、WalkMeの活用推進を一手に担っています。
「WalkMeを入れたはずなのに、効果が見えない」からの出発
同社が抱えていた最大の課題は、「SalesforceとWalkMeを同時に導入したため、WalkMeの効果がどこにあるのか分からない」という状況でした。加えて、エラーが発生してもSalesforce標準のエラーメッセージがわかりにくく、ユーザーが自己解決できずに問い合わせが集中していました。そこで大久保氏が取り組んだのが、WalkMeのイベント(Engaged Element)を使ったエラーの可視化です。件数の多いエラーや問い合わせ頻度が高いものを優先的にイベントとして仕込み、CSVでエクスポートしたデータをTableauに取り込み、対応日や種別のタグを付与して独自ダッシュボードを構築。「どのエラーが、いつ、何件発生し、対応後にどれだけ減ったか」を継続して追跡できる仕組みを整えました。
3回の試行錯誤で実現した、商談管理エラーの大幅削減
特に問い合わせが集中していた商談管理画面の保存エラーに対しては、3段階のPDCAを繰り返しました。1回目は、エラー発生時にWalkMeで分かりやすい赤文字メッセージを表示。しかし月57件あったエラーが約50件にとどまり、効果は限定的でした。2回目は保存前に未入力項目を赤い三角で事前に示す仕組みを追加。件数はやや減ったものの十分ではありません。そこで3回目の対応として、保存ボタンにスマートチップを設置し、すべての項目を入力するまで次に進めなくする仕組みを実装。これで月約24件まで削減することに成功しました。
「1回目の対応が効かなくても、データを見れば何が足りないかが分かる。だから次の手が打てる」と大久保氏は語ります。
削減できた工数が、次の改善への投資になる
エラー対応の削減効果を問い合わせ対応時間に換算すると、対応前は1日204分、月4,080分相当だった工数が1日129分、月2,580分へと約37%削減されました。「少人数でビルダー業務も兼務している中で、この削減分を分析やコンテンツ改善に充てられるようになりました。分析によって上司や経営層への報告も数値でできるようになり、WalkMe活用の社内認知度向上にもつながっています」(大久保氏)
Q&Aより:イベント設計の具体的な方法について質問が出ました。大久保氏は「すべてのエラーにイベントを仕込むとデータが膨大になるため、件数が多いものや問い合わせで体感的に頻出するものを優先して選定している。Tableauの中でさらに絞り込んで分析している」と回答しました。
富士通株式会社:インサイトで9分の時間短縮を実証し、さらに「次の課題」を見つける
3社目に登壇したのは富士通株式会社の西岡氏(WalkMe CoEチーム)。社内WalkMe利用者数は約10万人、適用システムは約20にのぼる大規模展開を進める同社では、従業員体験を起点に社内ITをより使いやすくしていく「Happy UX Project」を推進しています。プロジェクトでは、「共に創ろう社内ITにHappyの輪を」というスローガンを掲げ、社内IT改善の一環としてWalkMeを活用しています。また、ユーザーの行動データをもとに課題を捉え、改善につなげるための仕組みとしても活用されています。
CoEチームがアカウント管理・ガイド作成支援・インサイト推進を担い、各システム担当者と連携しながら、継続的なUX改善を進めています。
「ユーザー視点」への転換がインサイト活用を加速させた
FY24まで、富士通のWalkMe活用は「システムオーナー視点」でガイドを実装することが中心でした。FY25からは、利用者が実際にどこで迷い、どこに時間を要しているのかをデータで捉える 「ユーザー視点」へとシフトし、インサイトを活用し、UX改善の効果を定量的に検証しながら、次の改善につなげる方針へと転換しました。そのきっかけとなったのが、ある業務フォームへのスマートウォークスルー実装です。ユーザーから「操作手順が分からない」という声を受けて導入したものの、「本当に使いやすくなったのか?」「業務時間の削減につながっているのか」を確認するには、感覚値だけでは不十分でした。そこでインサイトのフローアナリティクスを使い、「保存ボタンをクリックするまでの平均操作時間」を計測し、改善前後の変化を確認することにしました。
数字が出た瞬間、チームが変わった
フローアナリティクスの各ステップ間の平均滞在時間を合計して比較した結果、スマートウォークスルーを利用しなかった場合の操作時間は15分、利用した場合は6分。9分の短縮を数値として実証できました。登録作業時間としては約60%の削減となり、こうした定量データをもとに年間約1,500時間の業務削減効果を試算しています。「メンバー全員で喜びました。感覚値ではなく、数値として効果が見えてきたことが大きなポイントでした」と西岡氏。それまで「効果が出ているんじゃないか」という感覚にとどまっていたものが、データに基づいて語れるようになったことで、関係者への説明や次の改善検討もしやすくなったといいます。
「改善した」では終わらせない。インサイトで次の課題を見つける
しかし西岡氏のチームは、ここで立ち止まりませんでした。スマートウォークスルーを起動するためのランチャーのクリック率を確認したところ、利用率はわずか10%であることが判明。操作時間の短縮効果は確認できた一方で、「便利な機能が、必要なユーザーに十分届いていない」という新たな課題が浮かび上がりました。この発見をきっかけに、ランチャーのUI改善やプロモーション施策など、複数の次の打ち手を検討するフェーズへと進んでいます。
「インサイトは効果を確かめるためだけのツールではありません。ユーザーの行動データから課題を発見し、仮説を立て、次のアクションを考える起点になります。感覚ではなくデータを見ながら次の打ち手を考える。この繰り返しがUX改善を前へ進めます」(西岡氏)
Q&Aより:各システム担当者のスキルについて質問が出ました。「全機能を理解しているかというとまだ道半ば。シンプルな修正は各担当者が行い、作り方で迷った場合はCoEへ相談する体制にしている」と西岡氏。CoEが伴走する仕組みが、大規模展開を支えていることが伝わりました。
WalkMe分析ワークショップ:「型」を体験し、自社に持ち帰る85分
休憩を挟んだ後半は、出席者全員が参加するグループワークショップへ。架空のECサイト「shopme.com」の運営責任者という設定のもと、インサイトを使った改善サイクルの「型」を実際に組み立てていただきました。まず問い直す:インサイトの目的は何か?
ワークショップの冒頭、参加者にこんな問いを投げかけました。「WalkMe インサイトの目的は何ですか?」「利用状況の可視化」「業務プロセスの可視化」「現状把握」「気づきを得る」――さまざまな答えが出しました。どれも正しい。しかし重要なのは、その先にある「後半部分」です。
「インサイトで現状を把握するだけでなく、そこから改善を行い、UI/UXを更に向上させる。それがインサイトに込められた本来の目的です。今日のワークショップでは、その一連の流れを持ち帰っていただきたい」
課題を選び、改善のシナリオを描く
7グループに分かれた参加者は、ECサイトが抱える4つの課題(検索活用・購入完遂・会員登録・サポートコスト削減)から各テーブルでディスカッションを行い、テーブル毎に1つを選択。最も多くのグループに選ばれたのは「購入プロセスの完遂」でした。ワークは2段階で構成されました。まず「課題・成果・解決策・検証(KPI)」の4ポイントを整理するワーク①(約20分)、続いて具体的な改善策・インサイトのイベント設計・KPIを落とし込むワーク②(約20分)。最後に各グループから成果物について、グループディスカッションの中で話し合われた各グループの「一押しの解決策」と「一押しのKPI」と共に、発表いただきました。
グループ発表で飛び出したアイデア
発表では、それぞれ異なる発想が飛び出しました。「シャウトアウトで入力例を示して入力ミスを事前防止し、滞在時間短縮をKPIに設定する」というシンプルながら的確なアプローチ。
「電話・メール問い合わせをWalkMeメニューのFAQで代替しつつ、購入件数も同時にモニタリングして”ユーザーが減ったから問い合わせが減った”という誤読を防ぐ」という、KPI設計の精度にこだわったプラン。
購入フローを「カートへの導線」と「チェックアウト」の2段階に分解し、それぞれにランチャー配置と郵便番号自動入力補完を組み合わせる設計。
アクションボットを活用し、チェックアウト画面への遷移時に対話形式の入力サポートを強制起動するという仕組み。
どのグループも、課題の捉え方から解決策の粒度まで、しっかり自分たちの言葉で語っていました。BtoCのECサイトを題材にしながらも、自社のBtoBシステムに置き換えて考えている様子が随所に見られたのも印象的でした。「BtoCかBtoBかに関わらず、ユーザーのためにどんなUXを提供するかという問いは変わりません。今日の手法を、ぜひ自社の改善に活かしてください」と締めくくりました。
参加者に共通した悩みと、他社の工夫
セッション間のQ&Aや懇親会での対話を通じて、参加者に共通する課題と関心が浮き彫りになりました。よく話題に上ったのは、「インサイトのイベントをどこから設計すればよいか分からない」「効果を上司・経営層に説明するためのKPIの選び方が難しい」「少人数体制で分析まで手が回らない」といった悩みです。SalesforceやWorkdayなど外部システムへの実装時のエラー計測設計についても、具体的な質問が相次ぎました。
一方で、他社の取り組みから得られたヒントも豊富でした。「体感的に多い問い合わせや頻出エラーから優先してイベントを仕込み、データが蓄積してから全体を俯瞰する」(ウィーメックス)、「定性的な課題感を数値で裏付けてから実装することで、効果検証まで一貫したストーリーが作れる」(旭化成)、「フローアナリティクスによる操作時間の短縮は、経営報告に使いやすい分かりやすい指標になる」(富士通)――それぞれの知恵が参加者の間で共有されました。
おわりに
「インサイトに込められた目的は、現状把握だけではない。改善を起点に、PDCAサイクルを回していくことにある」――今回のユーザー会を貫いていたのは、このメッセージです。3社の発表はアプローチこそ異なりましたが、いずれも「データを見続けること」「数字が示す次の課題を無視しないこと」「分析を改善サイクルの起点として使うこと」という共通の姿勢が貫かれていました。ワークショップを終えた参加者からは「明日から自社のシステムでイベントを仕込んでみます」「インサイトのフローアナリティクスを試してみたい」といった前向きな声が多く聞かれ、懇親会まで熱い交流が続きました。
今後もWalkMeは、ユーザー同士が学び合い、実践知を積み重ねていけるコミュニティの場を大切にしていきます。皆様のWalkMe活用が「入れる」フェーズから「回す」フェーズへと進化していけるよう、引き続き伴走してまいります。
ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

