【後編】WalkMe on Tour Tokyo 2026 AIの可能性を、成果に変える

WalkMe Team
By WalkMe Team
Updated 9月 18, 2026
前編では、WalkMe株式会社 野田亮によるオープニング、来場者参加型クイズ、WalkMe Ltd. CRO スコット・リトル、そしてSAPジャパン株式会社 代表取締役社長 堀川嘉朗氏との対談をお届けしました。後編は、Customer KeynoteとProduct Keynoteです。
 

【荏原製作所】DXの「d」は小文字、「X」は大文字

小和瀬 浩之 氏 株式会社荏原製作所 執行役 CIO(情報通信担当)兼 情報通信統括部長

Customer Keynoteには、株式会社荏原製作所 執行役 CIO(情報通信担当)兼 情報通信統括部長 小和瀬浩之氏が登壇しました。テーマは「テクノロジー投資を、確かな成果に変える。荏原製作所のDAPとAIの活用」です。

荏原製作所は1912年創業、今年で114年目を迎える産業機械メーカーです。関連会社112社、従業員は連結で2万人を超え、売上の65%が海外。シンガポールのマーライオンの噴水も、ラスベガスの取水ポンプも、同社の製品が支えています。

小和瀬氏はまず、DXの捉え方から話を始めました。「私はいつも、DXは『d』が小文字で『X』が大文字だと申し上げています。Dは手段、Xが目的だからです。うまくいっていない会社は、これが逆になっている。他社がDXに取り組んでいるから、社長がIT責任者を捕まえて『うちもDXをやれ』と言う。そういう会社は、うまくいきません」

同社が重視するのは、経営と業務部門とIT部門の三位一体です。「当たり前と言えば当たり前ですが、これができている会社がうまくいっている。特に重要なのは経営です。社長が本気で取り組まないと、デジタルトランスフォーメーションはできません」

同社はDX認定を早期に取得し、2025年4月に2度目の更新を完了。「DX注目企業2022」にも選定され、小和瀬氏自身は「日経クロステックが選ぶCIO/CDOオブ・ザ・イヤー2023」の初代大賞を受賞しています。
 

【荏原製作所】72システムへの展開と、現場で起きた変化


では、なぜDAPが必要だったのか。小和瀬氏は自身の40年のキャリアから語りました。

「日本と海外では、システムを使うカルチャーが違います。海外、特にアメリカでは入力するのはプロフェッショナルです。日本は現場の方に入力していただく。だから私が若い頃に手組みで作った仕組みは、画面にかなりの入力チェックを入れていました。半角で入れてほしいところに全角が入ってきたら自動的に変換する、といったことです」

転機は1995年、タイ駐在時のSAP導入でした。「困ったと思ったのは、パッケージの画面にはチェックが全く入っていないことでした。全部入れようとすると、ABAPで全部開発しなければならない。コストも上がるし納期も長期化して、現実的ではありません。それ以来ずっと、画面をチェックしてくれる簡易なツールはないものかと思っていました」

DAPは、その答えでした。荏原製作所は2023年3月に2システムでトライアルを開始。2024年8月に22、2025年8月に45、そして2026年8月時点で72システムへと展開しています。

効果も具体的です。国内グループ約8,000名が使う勤怠管理システムでは、入力方法に関する問い合わせが8割減少しました。「たまにしか使わない入力ってありますよね。電車が遅れたときにどう入力するか、とか。以前は分からずに誤入力したり、サポートデスクに問い合わせが来ていました。自動ナビゲーションで操作を案内することで、問い合わせは8割減。これは実際の数字です」

電子帳簿保存法への対応では、より踏み込んだ使い方をしています。「誤入力は法令違反になります。教育を徹底するという方法もありますが、それよりもWalkMeでコントロールしてしまう。おかげでデータ精度を計画どおり確保できました」。このシステムは、国内グループ約40社のほとんどに展開されています。

さらに同社は、デスクトップ常駐型のWalkMe Menuを世界で最初に導入した企業でもあります。用途は入社時のオンボーディングです。「私が8年前に入ったときは、机にパソコンがポンと置いてあって、横にマニュアルがあって、あとは自分でやってくださいという扱いでした。今はキャリア採用の方が即戦力になれるよう、デスクトップ型で自己解決できる体制にしています。しかも管理側から、それぞれの方が今どの状態にあるかを把握できる。誰かがここで止まっている、というのが分かるので、ピンポイントでフォローできます」

こうした取り組みが評価され、荏原製作所はWalkMe主催のグローバルアワード「Realizer Awards 2026」のファイナリストに選出されています。
 

【WalkMe Ltd.】AIが使われない、3つの理由

Rhonda Buehler WalkMe Ltd. SVP Global Solution Advisory

Product Keynoteには、WalkMe Ltd. SVP Global Solution Advisory ロンダ・ビューラーと、WalkMe株式会社の真田寛之が登壇しました。

ロンダはまず、顧客から聞く3つの課題を挙げます。業務の流れの中でAIを使ってもらうこと。コンプライアンスを徹底すること。そしてAIのベストプラクティスを浸透させることです。

「従業員はツールの存在を知らない。どれをいつ使えばよいか分からない。あるいは、1つの作業を終えるために5つのシステムを行き来している」

紹介されたのは、AIツールそのものの中で起きる例でした。ある従業員がClaudeを開くと、SAPのデータを安全に取得できるコネクターの存在が提示される。1クリックで認証が済み、SAPのデータをそのままAIとの会話に取り込める。もうひとつはコストの話です。プロジェクトに集中している従業員に対して、トークン消費が増えていることを本人が気づく前に、より低コストのモデルへの切り替えをその場で提案する。

「本人が結局見ない研修動画ではなく、必要なまさにその瞬間に現れるガイドです」

続けてロンダは、接続性の壁に触れました。「アプリケーションとワークフローの70%近くがAPIでつながっていません。つながっていても、一部の機能しかカバーしていないこともあります」
 

【WalkMe株式会社】発注書のない請求書が、クリックだけで処理される


真田 寛之 WalkMe株式会社 VP Solutions Advisors

ここからは真田によるライブデモです。題材は、経理財務の現場なら誰もが知る「発注書のない請求書」の処理でした。

通常であれば、届いたPDFから項目を1つずつシステムに転記していく作業になります。1枚あたり12から15回の手作業。「このコピペの作業ですら、10項目やろうとすると、どこまで正しくできたか不安になることがあると思います」

デモでは、まず担当者のメールにWalkMeのAction Barが現れ、文脈を認識して「注文書なしの請求書を作成しましょう」と提案します。クリックすると、WalkMeがSAPの該当画面まで自動で誘導。そこで「Jouleで自動入力しますか」と次の提案が出ます。

PDFをアップロードすると、WalkMeがJouleに対して、この状況に適したスキルを使うよう働きかけます。「今、私は何も入力作業をしていません。つまり担当者は、AIと対話するためにプロンプトエンジニアリングを覚える必要がないということです」

Jouleが解析したデータを、WalkMeが適切なフィールドへ転記していきます。「今、私は入力操作をしていませんので、当然、入力ミスが起こらないということを意味しています」

続く勘定コードのマッピングは、ベテランでも難しく、スプレッドシートを確認しながら進めることの多い作業です。ここではWalkMeのAIが、管理者が事前に登録した企業独自のルールに従って自動入力しました。「先ほどJouleはPDFを解析していましたが、今度はWalkMeのAIが企業独自のルールをもとに入力しています」

途中には人が確認するステップが挟まれ、監査に備えたエビデンスのアップロードも案内されます。最後は承認です。WalkMeがServiceNowへ誘導し、SAPで入力したデータを引き継いで、UIネイティブエージェントがチケットを自動で起票しました。

「ここまでSAPでのガイドも、最後のチケット起票も、すべてWalkMeだけで実現できます。しかもフルカスタマイズが可能で、APIは不要です」

真田は最後に、作る側に向けた2つの新機能も紹介しました。先月末にリリースされたAI Authoringは、AIとの対話でWalkMeのコンテンツを作成できる機能です。もうひとつのAI Insightsは、収集したユーザーの行動データを、対話によって見たい切り口で把握できるようにします。
 

次のロイは、皆様かもしれません


2時間のKeynoteを締めくくったのは、冒頭の映像への回帰でした。

「WalkMeとSAP両者の掲げるビジョンから、荏原製作所様の実践、そしてWalkMeのさらなる進化をご覧いただきました。今日のテーマは、AIの可能性を成果に変えること。テクノロジーを成果に変えることは、皆様の会社でも実践可能だと思います」

そして野田は、こう続けてKeynoteを終えました。

「次のロイは、皆様かもしれません」


当日の講演動画はこちら

【前編】オープニング、スコット・リトル、SAPジャパンのセッションを読む
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